2006年06月21日

大人のための怪奇掌篇




 私は、いわゆる短編小説が好きなのです。
 これはきっと、愛読しているホルヘ・ルイス・ボルヘスの影響がとても強いと思います。
 倉橋由美子さんの本は実に初めて読んだのですが、大人のための残酷童話とか、新訳・星の王子様とかを書いた方のようです。
 それはまたおいおい読むかもしれないとして、この「掌篇」は、20の短編がつまっております。
 第一夜から第二十夜まで。
 夜にひとつひとつと読み進めていくのが正しい形なのかも?
 私は地下鉄の中で、ひとつずつ読んでました。
 地下鉄に乗っている時間は12分。それでひとつ読めてしまいます。
 内容は、ちょっとコワイお話。
 ファンタジーではなく、現代における、ちょっと幻想的なお話です。
 こんな人が、ひっそりといて、こっそりとなにかをしているかも...?という感じ。
 話はストンと入っていく感じで、素直な作りのモノがほとんどで、惨劇的なものではなく、ジワジワときます。
 個人的には、各短編のラスト1ページでちょっとしたビックリ感を味わいたかったかなと思いますが、なかなか全篇楽しむことができました。
 
 ちょっと話は変わりますが、私は基本的に日本人の作家さんは読むに耐えないことが多くて、読後感がよろしくないことがほとんどです。
 村上龍の「半島を出でよ」とか宮部みゆきの「模倣犯」は、全く面白味が感じられず、激しく読後感が悪かった。きっと私の感覚がどこか他の人と違っていたのでしょう。好きな日本人の作家さんは司馬遼太郎さんとかです。主に海外の翻訳物を読んでおります。

 なので、日本人の作家さんは、必ず10ページ近く立ち読みしてから買うことにしています。
 それだけ合わない文体の人が多くて、疑心暗鬼っぽくなっているということです。
 ところが倉橋さんの文体は、とても上品でリズム感があり読むのに苦痛を感じることはありませんでした。
 好きな作家さん、というか、好みの作家さんの文体に出会った時には、いつも文章の後ろに、なにか静かなピアノソナタが流れるようなリズム感を感じるのですが、これも同じように波長があったようです。
 音もなく降る晩夏の霧雨のような、静かでしっとりとした、それでいて少し熱のある文章です。
 めったに文体の波長が合う作家さんには出会わないので、これは嬉しい。
 今度はこの人の本を一通り読破しよう。
 ...と思ったら。
 2005年の6月に他界されていました。
 実に惜しい方を亡くしました。

 いや本当に。
 この方の作品に注目していこうと思います。

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BookData
 著者:倉橋由美子
 本体価格:1,600円(税込1,680円)送料別
 出版社:宝島社
 サイズ:単行本/220p
 発行年月:2006年02月
 『倉橋由美子の怪奇掌篇』改題書
 ISBN:4796650970
 By.楽天ブックス
posted by さざなみ at 22:57| ☔| Comment(0) | TrackBack(0) | 【本】フィクション(小説) | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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